最近、投資詐欺のニュースが多いですよね。騙されてない人は、騙された人が悪いと言いますよね。でも本人からすると、うまく騙されたと言います。今回の内容は、投資詐欺ではないですが、金融商品を勧められた場合に、表面上の数字にだまされないように注意する方法を紹介します。
銀行がここ数年力をいれて販売しているラップ口座(ファンドラップと呼んだりもします)を例にして説明させていただきます。結論から言うと、ラップ口座はやめたほうがよいです。なぜか?
目次
ラップ口座とは?
ラップ口座、ファンドラップとも呼ばれますが、ファンドをラップするという意味です。ファンド=投資信託、ラップはくるむという意味です。ファンドと定期預金のラップ=セット商品となっています。
一般的にセットと聞くと、マックのバリューセットみたいに金額的にお得という印象がありますが、ファンドラップの場合はセットがお得ではありません。
というよりは、セットにすることでお得感を出しつつ、手数料がより高くとられる商品です。偏った視点で見ると、世の中のセット商品はほとんどがお得ではありません。売れるものと売れないものの組み合わせだったり、セットにすることで手数料が安く見えるが、結果的に手数料が高くなる場合もあります。
マックのバリューセットはお得かというと…?よく食べますw
話を戻しまして、、、
投資信託になじみのない人向けに銀行が開発した、投資信託導入商品と言いますか、投資信託を買いやすくした商品です。買いやすいというより、手数料をとるためにわざと定期預金とセットにしています。順番に説明していきましょう。
ラップ口座のメリット?
ラップ口座を契約すると、定期預金の金利が優遇され高くなる場合があります。
金利=もらえる利息のことです。
現在、どこの銀行でも定期預金が0.01%程度しかありません。
それに比べるとかなり高いです。
定期預金の金利は1%以上、ときに5%とかあったりして、世の中の金融商品の水準の中でも高いです。
1%でも定期預金0.01%の100倍です。
これには裏があります…。
ラップ口座の問題点
ラップ口座には様々な問題点があります。商品としての問題点を挙げていきます。
・投資信託は選べない
銀行が用意したセット商品のため、投資信託は銀行指定の投資信託しか買えません。もしくは銀行側が買ってくれるので選べなかったりします。
ネット証券で買えるような、はやりの投資信託などは選べないということです。銀行指定の投資信託=銀行がもうかる投資信託を買わされることになります。
とはいっても任せることができるので、何を買えばよいか考えなくてもよい、とも言えます。
ラップ口座→投資信託を選べない
ネット証券→投資信託を選べる
・投資一任契約にかかる手数料 がかかる
運用をプロに任せる=投資一任契約となります。
それに伴う手数料がかかります。
この手数料が高いんです。
・信託報酬が高い
運用をプロに任せますが、何を購入するかも任せることになります。
そうなると何が問題かというと、信託報酬が高い投資信託を購入して運用される可能性があるんです。
信託報酬とは、その投資信託を保有しているだけでかかる費用です。
もしかしたら、これが一番問題かもしれません。
・セットで買わされる
銀行によって異なりますが、投資信託と定期預金のセットという形でしか購入できない場合があります。セットはお得ではない。セットで買うことで全体として手数料が高く、セットという表現でお得感を出しているが、実際にはお得ではなく逆に高手数料=高コストな商品となっている。
例えば、投資信託と定期預金のセットでしか契約できないことがあります。定期預金の金利を他の商品よりも優遇した金利となりますが、そのためには投資信託を買わないといけません。銀行が販売・運用する投資信託はとにかく手数料が高いんです。
金利が高いからお得!ようにみえるが、3か月分だけ?
金利が高いからお得では?と思われますが、実際には違います。
例えば、三菱東京UFJ銀行のファンドラップ「基本プラン円定期3カ月物適用金利1%」という商品がありますが、1%は現在の世の中的にはかなり高いです。しかし、この1%の金利がもらえるのは3か月だけです。
詳しく説明すると、えー?と言われるかもしれませんが、3か月間の金利を1年適用された場合に、1%ということです。
意味わからないですよねw
分からないところが、ポイントなんですw
例えば、ラップ口座で100万円契約(100万円の投資信託)を購入したとします。
100万で金利1%もらえるとしたら、100万かける1%(0.01)=1万円となります。
でも、実際にもらえるのは1%ではなく、それの3か月分です。
1万円×3/12か月=2,500円です。
だから3か月物と書いてあるんです。
年間で1%だけど、その金利で3か月分もらえるよ!ということなんです。
大変衝撃的ですよね…。
ちなみに、3か月経過後は定期預金として自動継続されるため、
金利は0.01%となります。
詐欺じゃん!という声が聞こえてきそうですが、説明がされていればOKのようです。
WEBだと小さい文字でいっぱい説明が書いてあります。
このように複雑な商品にすることで、金利が高い(利息がいっぱいもらえる)ように見せているんです。
定期預金で1%ももらえるよ、というエサで、投資信託をたくさん買わせる作戦ですね。
銀行としては定期預金は儲からないけど、投資信託は儲かるんです。
実際にシミュレーションしてみると
実際に、三菱東京UFJ銀行のファンドラップ「基本プラン円定期3カ月物適用金利1%」を契約して運用した時に利益が出るのか、シミュレーションしてみましょう。
公式ホームページの情報を参考にしています。
販売会社:三菱東京UFJ銀行
ファンドラップ名:基本プラン円定期3か月物適用金利1%
ファンドラップ契約金額:500万円
スーパー円定期契約金額:100万円
運用期間:1年間
少し補足です。
ファンドラップは500万円からです。それ以上は100万円単位で増やせます。
またスーパー円定期は、ファンドラップの契約金額と同額まで契約が可能です。
0円でもよいのかもしれません。
これで1年間運用したときに、年間でいくらの利益が見込めて、年間でいくらの手数料がかかるかシミュレーションしてみます。
1.ファンドラップの利益(含み益)
一般的な投資信託の場合、運用が順調だと年間で3~5%程度の利回りです。
500万のファンドラップが運用順調として、
ここでは4%の利益(=価値があがった)が出たとします。
実際にはファンドラップで運用されている投資信託は価値があがっても、売却しないと利益は確定しないです。
500万×5%=25万円(25万の利益)→20万円(税引後)
2.スーパー円定期の利益(利息)
3か月間 1%→0.8%(税引後)
残り9か月間 0.01%→0.008(税引後)
※ここでは計算結果をわかりやすくするため、税金を20%ととします。
よって
100万×0.8%×3/12か月=2,000円
100万×0.008%×9/12か月=60円
合わせて2,060円の利益(利息)です。
小計
1+2=20万2,060円
では次に、年間でいくらのコストがかかるかを確認しましょう。
3.契約時の手数料
ファンドラップ500万 →契約時の手数料 0円
銀行側で運用します。ファンドラップ内で投資信託を購入しますが、購入に伴う手数料はかからないようです。
その代わり、下記の4と5がかかるんです。
4.年間を通してかかる費用(運用を任せる費用)
「投資一任運用にかかる報酬」費用がかかります。1年間でいくら、という費用です。運用を全部銀行に任せるので、その運用を任せる費用です。
・固定報酬型
投資顧問料最大0.378%(年率・税込)と残高手数料最大1.134%(年率・税込)がかかります。
・成功報酬型
投資顧問料最大0.162%(年率・税込)と残高手数料最大1.134%(年率・税込)に加え、前年末時価評価額に対する当年末時価評価額の増加分(超過収益)に対して10.8%(年率・税込)を乗じた額の成功報酬(ただし、日次時価平均残高の1.08%〈年率・税込〉を上限とする)がかかります。超過収益が発生しない年は、成功報酬はいただきません。
と書かれています。
↓
今回の例では固定報酬型で計算してみます。最大かかったとします。
500万×(投資顧問料 0.378% + 1.134%=1.512%)=7.6万
5.投資対象にかかる費用(おもに信託報酬)
投資信託ごとに運用管理費用(信託報酬)および信託事務の諸費用(監査費用を含みます)等、間接的にご負担いただく費用があり、日々の基準価額に反映されています(運用管理費用〈信託報酬〉は、各投資信託の信託財産の純資産総額に対して、最大2.20%〈年率・税込〉)。
と書かれています。
↓
要するに年間の残高に対して一定の率をかけた費用がかかります。最大かかったとします。
500万×2.20%=11万
小計
3+4+5=18.6万円
18.6万円が1年間にかかります。
ファンドラップの金額が変動しなければ、1年ごとに必ずこれだけかかることになります。
金額が大きくなれば、4.に関する費用が増えていきます。
500万という運用金額に対して、18.6万÷500万=3.7%
3.7%です!!!
何もしなくても3.7%の費用がかかるんです。
(絶句….)
収入と支出ということでまとめると…
収入(1+2):20万2,060円
支出(3+4+5):18万6千円
合計:16,060円
500万円という投資金額に対して、16,060円なので
16,060円÷500万円=0.267%の利益です。
すくな!!
シミュレーション結果おもしろいですね。
もともと1%もの高い金利がもらえる、ということで注目したラップ口座でしたが、その1%をもとにラップ口座を契約、1年運用した場合の収入は、たったの16,060円でした。
また、ラップ口座で運用された投資信託で利益が出たという想定で計算しています。
これが運用で損失がでたら…
損失の場合のこわい点が、年間をとおして3.7%の手数料(支出)がかかるということです。
利益が0円だったら、年間18.6万円の手数料がかかります。
ここまできたらだいぶ分かってきたと思いますが、
定期預金で1%ももらえるよ、というエサで、投資信託をたくさん買わせる作戦ですね。
銀行は、ラップ口座の契約金額が大きくなればなるほど投資信託で儲かるんです。
銀行は損しません。
まとめ
ラップ口座について、全体像がわかりましたでしょうか?
個人的には、ラップ口座は全くおすすめしません。
言葉が悪いですが、銀行が儲けるためだけの商品です。
銀行でラップ口座で投資信託を運用するなら、自分でネット証券を開設して、自分で投資信託を購入して運用すべきです。
そうすれば、少なくとも3+4+5は1%以下にできます。
インデックスファンドという種類の投資信託を購入して運用するなら、0.5%以下も可能かもしれません。
銀行が販売する商品の問題点については、また別の記事を書きたいと考えています。
本日もお読みいただきまして、ありがとうございました!
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