GPIFとは、年金積立金管理運用独立行政法人のことです。我々国民が納めた国民年金保険料や厚生年金保険料を、厚生労働省の依頼を受けたGPIFが運用しています。そして、その運用益から年金が支払われています。
最近何かと話題ですよね。運用損失が出たとか運用益がでたとか、よくニュースに取り上げられています。どのような運用をしていて、どのような運用成績なのかをおさえておきましょう。
われわれ国民との関係
公式ホームページの図がわかりやすいです。下記に引用します。
我々の保険料を厚生労働省が預かり、それを年金積立金としてGPIFが運用します。運用で発生した運用益は厚生労働省に戻り、それが給付という形で国民へ年金として支払われます。
さらに詳しくみていくと…
GPIFによる年金積立金の運用はこのように、GPIFの運用委員会で議論されて、GPIFの理事長から運用受託機関へ運用を委託します。運用受託機関は投資顧問会社等です。GPIFは厚生労働省の管理下にあるのが特徴です。莫大なお金を運用していますが、財務省とかではなくて厚生労働省の管理となります。
運用のポリシーについて
管理目標(いわゆるベンチマーク=目標とするもの)を決めています。わかりやすいところをみてみると、例えば「国内株式」の運用としてはTOPIXという指数をベンチマークとしています。
運用は下記の4つのカテゴリとなっています。
・国内債券:NOMURA-BPI「除くABS」、NOMURA-BPI国債及びNOMURA-BPI/GPIF Customized
の複合インデックス
・国内株式:TOPIX
・海外債券:CITI-WGBI
・海外株式:MSC-KOKUSAI、MSCI-EMERGING及びMSCI-ACWIの複合インデックス
TOPIXが何かについては、下記の記事もご参考にどうぞ。
運用方法としては、パッシブ運用とアクティブ運用のどちらでも運用すると規定されています。
・国内債券…パッシブ運用/アクティブ運用
・国内株式…パッシブ運用/アクティブ運用
・外国債券…パッシブ運用/アクティブ運用
・外国株式…パッシブ運用/アクティブ運用
2016年度(平成28年度)の運用
・運用成績
運用資産額:144兆9,034億円
収益率:+5.86%(+7兆9,363億円)
通期収益率:+2.89%(+53兆3,603億円)
ちなみに、前年2015年度(平成27年度)は5兆円ほどの運用損となっています。ここで重要なのは、運用なので良いときもあれば、悪いときもあるということです。損をすることもあれば利益の時もあるので、一喜一憂すべきではないです。
次にカテゴリ別の収益率をピックアップしてみましょう。
例えば、国内株式をGPIFと同じように運用していたら14.89%のプラスとなっていたということです。では、どのようなポートフォリオ(構成割合)かを確認しましょう。
・ポートフォリオの結果
年金積立金全体のポートフォリオは次の通りです。
国内債券:35%
国内株式:25%
外国債券:15%
外国株式:25%
ポートフォリオとはカテゴリごとにどのくらいの割合で保有するのかあらかじめ定めたものです。このとおり買わないといけません。このポートフォリオから読み取れるのは、株式の割合を高くしていることと、国内で60%、外国で40%という比率となっている点です。
※ここではポートフォリオとアセットアロケーションは同じ意味として読み取ってください。
・運用管理委託手数料
2016(平成 28)年度の管理運用委託手数料額:400億円
運用資産額に対する管理運用委託手数料率:0.03%
運用委託手数料は、いわゆるコストですが、すごく低いですね。0.03%というコスト率は、例えば企業の確定拠出年金でも頑張って0.10%とかなので、いかに低コストで運用されているかがわかります。(ほめています)
スチュワードシップという取り組み
せっかくなので、GPIFの平成28年度の業務概況書より興味をもった内容を紹介します。
年金の管理運用法人は、議決権行使を直接行わないと定めており、議決権行使は長期的視点に立って運用受託機関を通して実施します。このスチュワードシップ活動として、下記の取り組みを行っています。
2016(平成 28)年度のスチュワードシップ活動における取組
①JPX日経400採用企業向けアンケートの実施
②「企業・アセットオーナーフォーラム」の開催
③「グローバル・アセットオーナーフォーラム」の開催
④管理運用法人の運用受託機関が選ぶ優れた「コーポ
レート・ガバナンス報告書」、「統合報告書」の公表
⑤運用会社の評価基準の改定(国内株式パッシブ運用受
託機関におけるスチュワードシップ責任に係る取組の
ウェイト引き上げ等)
⑥PRIや国内外関係団体・機関との連携強化
⑦英 国 30%Club、米 国 Thirty Percent Coalition
への加盟
⑧国内株式を投資対象にしたESG指数の公募
株主優待で得たものはどうなるのか
これもおまけに紹介します。
株主優待は、資産管理機関というところで管理されていて、換金できるものは換金し、食品や家庭用品については日本赤十字社や東京都福祉協議会を通じて福祉施設などに寄付するなどしているそうです。
おまけ
GPIFのポートフォリオや、運用方針などは参考になります。自分で投資信託を運用する場合においても配分などを真似してみてもよいかもしれません。国内への資産配分が高いのですが、日本の経済成長をになっているという面もあると思われます。
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